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アニメ製作委員会方式のメリットとデメリット

      2019/02/06

■オープニングストーリー

あるとき、二人の男がいました。二人ともアニメを作ってお金儲けをしたいと企んでいました。でも作るのにお金が足りない。そこでふたりはタッグを組み、協力してお金を出し合いアニメを作ることにしました。原作は有名なSF作家によるベストセラー小説です。

 

DVDで売れたお金は二人で山分け。そしてそれぞれに著作権も保持し、二次利用の権利も可能にしました。ところが一つ大きな問題がありました。二人の作りたい作品の方向性はまるっきり違っていたのです。

 

一人はおもちゃメーカーからやってきたプロデューサーで、一人は有名女優を抱える芸能プロダクションから来たプロデューサーでした。関連グッズにして売りたいおもちゃメーカーのプロデューサーは、かわいい妖怪みたいなキャラを登場させたいと言いました。もう一人は主人公をうちの売り出し中の女優をベースにキャラクターデザインしてほしい。合わせて声優もその女優でいきたいと言い出します。

 

結果、出来き上がったSFアニメの主人公キャラクターは、どこか有名女優に似た妖怪になっていました。そのアニメが大幅な赤字となったことは言うまでもありません。

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これは極端な例かもしれませんが、製作委員会方式でアニメーションを作る上で、このようなメリット、デメリットがあるということを説明するため、こんなストーリーを考えてみました。

 

このお話だと、デメリットのほうが強くなってしまいましたが、製作委員会方式でのアニメーション製作におけるメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

 

■製作委員会方式のメリット

・複数の企業が出しあうことで、多額の資金を捻出できる
・一社あたりの出資を減らすことでヒットしなかった時のリスクを分散できる
・出資する企業のメディアを利用し、宣伝をたくさんできる
・2次利用によって、いろんな販売戦略を立て、売り上げアップが見込める

 

■製作委員会方式のデメリット

・出資する企業の意向でクリエイターの個性が制限される
・作品制作や販売戦略を行う際の意思決定に時間がかかる
・一社あたりの分配される利益が少なくなる

 

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以上のようにメリット・デメリットを知ると、一長一短がありますね。僕が今までいろんなアニメ監督やクリエイターさんのインタビュー記事を読んできたなかでも、出資社の意向によって本当にやりたい演出やシナリオを、泣く泣く断念してきたエピソードがたくさんありました。

 

製作委員会方式でのアニメーション製作を成功させるには、力を持ったプロデューサーの手腕が必要になるようです。クリエイターの個性や技術を守ることができるリーダー(プロデューサー)が、複数の企業の意向を汲み取りつつも、クリエイターが個性を遺憾なく発揮し、制作に集中できる環境を作るようにリードしていくことが成功の鍵になるでしょう。

 

■時代によって変わる資金調達の手段

今回は製作委員会方式について詳しくお話しました。20年以上アニメーション製作の基礎を築き上げて来たこの方式について少しでも知っていただけたらならいいです。

 

最近ではあえて、委員会方式ではない、一社だけの出資によって製作していこうとする制作会社もチラホラ見えて来たり、「クラウドファンディング」という、新しい資金調達の手段も出てきています。次回は委員会方式ではない方法でアニメを作る事例なども取り上げていきたいと思います。

 

それではまた!

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