NPOで儲け過ぎてはダメ?~今さら聞けないNPO法人~
今回はアニメーション制作とは少し違った内容ですが、個人的に気になったので調べてみました。アニメーション業界での仕事は制作から宣伝・プロモーションなど多岐にわたりあり、それぞれがビジネスを行っています。ですがなかには業界の発展そのものを目的とした事業を行う組織もあります。
日本でアニメーション業界発展に尽力する団体として、NPO法人アニメーター支援機構やAEYAC(エイヤック)など、アニメーション業界にあるNPO法人がいくつかあります。中には有名なクリエイターさんが参加していますが、NPO法人という会社構造や概要について何も知らなかった。なので今回は、NPO法人について今更聞けない法人の特徴や素朴な疑問について調べてたことをまとめました。
NPO法人ってボランティアなの?
NPOはNon-Profit Organizationの略で、直訳すると「非営利団体」となります。ここでいう「営利」とは、決して働く人にお給料を払えってはいけないというわけではなく、「利益を分配しない」ことを指しています。株式会社と比べてみるとわかりやすいでしょう。
株式会社は、会社を運営するための資金「株式」を株主がが出資します。その後経営で儲かった利益を出資比率に応じて株主に分配します。よって株式会社は「営利団体」となります。ちなみに有限会社や合同会社も「営利団体」の部類に入ります。NPO法人とは、「利益の分配をするしない」で分けることができるということですね。
NPO法人はあくまで「社会的な使命」を達成することを主眼においているという位置付けのため、決してボランティアで仕事をする団体ということではありません。活動をする上で必要な人件費は発生しますので、売り上げからお給料を支払うことは当然であるということですね。
NPO法人で儲けすぎてはいけないの?
NPO法人で利益を追求してはいけないのか?上記の前提を踏まえると、これは当然利益を追求してもよいということになります。NPO法人で働く人の人件費もずっと同じではないでしょうし、法人の規模も大きくしたいのであればそれだけ費用が多くなりますので、それだけ売り上げ、利益を追求していく必要性が出てくるでしょう。
ただし、配当することが禁じられているNPO法人では、ボーナスについて注意が必要のです。配当に該当する恐れが出てくるためですね。ボーナス(賞与)の配当方式によってはルール違反になる可能性があるのですが、ここでは深く触れません。
話は戻りますが、人件費という形になる従業員に対してのお給料は当然ながら認められ、規模を大きくし、社会的目的の達成に着目するのであれば儲け過ぎても問題はないということですね。
NPO法人の活動で儲けるのが難しい時
実際、NPO法人の活動で利益を出すこと自体が大変!という場合は少なからずあります。社会的な使命を達成することはあまりお金にならない収益構造であることも多いでしょう。そんな時のため、NPO法人では収益事業(その他事業)というものが認められています。
収益事業(その他事業)とは、NPO法人の活動全体の総支出額の50%の間まで、主となる事業とは別の利益目的の事業を行ってもよいという制度です。例えば、アニメーターの自立支援のためのセミナー運営費など、総額での支出が年間700万円かかる場合、そのうち350万円を超えてしまわない範囲で、全く関係のビジネスをやっても良いということです。しかも、これはあくまで支出が50%を超えないということなので、費用対効果の高いビジネスで利益を大きくあげても全く問題ないのです。ただし、出た収益は全て主たるNPOの事業の運営に充てなくてはならない点だけ、注意は必要ですね。
おわりに
このように、NPO法人といっても、その運営にはあくまでお金を取ることはもちろん必要であり、従業員へのお給料も支払うことはできる。そして、収益事業によりNPO法人を拡大することもできるということです。NPO法人の疑問にについて少し理解いただけたら幸いです。