アニメとビジネスと私

アニメのビジネスに関する話題のニュースや作品の魅力などを紹介していくブログ。ぜひ覗いていってくださいませ。

京都アニメーションの自社レーベル「KAエスマ文庫」から学ぶビジネスモデル

      2016/12/27

◼︎オープニング

2016年もコンスタントにヒット作を生み出し続けた京都アニメーション。特にTVシリーズを挟まない劇場作品として初めての試みとなった映画「聲の形」は大きな話題となりました。
 

今回は、そんなクオリティ高い作品を生み出し続ける京都アニメーションを、ビジネスの視点から見ていこうと思います。 
 

あなたは「KAエスマ文庫」という京都アニメーションが立ち上げた自社レーベルはご存知でしょうか?

 

◼︎ブランド力と利益を高める自社レーベル「KAエスマ文庫」

2011年に京都アニメーションが設立した自社レーベル「KAエスマ文庫」は、ブランドと利益を追求する新しい挑戦と言えます。ほとんどのアニメーション製作が製作委員会方式をとっている現在、制作費用を回収する手段はDVDの売り上げからがメインと言われています。複数の企業が出資している製作委員会方式では、アニメ制作会社が受ける利益は少なくなる現状があるからです。
 

原作が自社レーベルから出版されているものであれば、アニメ作品の出来次第で原作の評価も上がります。すると原作小説の売上も上がり、DVD以外からの収益が見込めるのです。逆に原作がヒットすれば、原作を有する京都アニメーションがすぐさまアニメ化し、関連グッズの販売なども行い、多様な収益を見込むことができるのです。
 

2009年から開催されている京都アニメーション大賞で、優秀なライトノベル小説を集めました。奨励賞を獲得したノベル作品「中二病でも恋がしたい!」はKAエスマ文庫として2011年に発売。2012年に京都アニメーションでTVアニメ化もされ、翌年には劇場版が公開されるなど、話題を呼びました。その後も「境界の彼方」や「ハイ☆スピード」などのKAエスマ文庫出版の作品を原作としたアニメ作品が続々とヒットしました。
 

◼︎次世代アニメ会社のビジネスモデル

このように現在の製作委員会方式によるアニメーション制作会社の立ち位置を、自社レーベルの立ち上げによって打破しようとする京都アニメーションの挑戦は、今後の業界のビジネスモデルを変える波を起こす可能性もあると言えます。
 

個人的な考えになりますが、少し間口を広げてみれば、自社レーベルの文庫の数を多くし、他社のアニメーション制作会社に原作を提供することもできるでしょう。そうすれば出版物や関連グッズなどの収益をより期待できます。社内のスタッフへの待遇も今より良くできますし、社員数を多くしてアニメ作品の制作数も増やすことだって可能になるかもしれません。
 

自社のブランド力や利益の追求。新しい挑戦をする京都アニメーションの行方に今後も注目していきたいですね。
 

それではまた。

 - アニメビジネス ,