『この男がジブリを支えた。近藤喜文展』に行ってきた!
もう半年近く前のお話ですが、2017年8月に福島県三春町で開催されていた「この男がジブリを支えた。近藤喜文展」に行ってきました。今回はその感想などをつぶやいていきます。
アニメーター近藤喜文展は、福島県三春町にあるアニメーション制作会社、福島ガイナックスと併設されている「空想とアートのミュージアム 福島さくら遊学舎」内の展示ブースで開催されました(現在展示会は終了しています)。
筆者の実家も福島県内にあることから、帰省時のついでにという軽い気持ちで行ってまいりました。が、軽い気持ちで行ったつもりがかなり内容が濃く、2時間くらいじっくり堪能してきて、帰りがすっかり遅くなってしまいました。
■まさに「ジブリを支えた名アニメーター」
近藤喜文氏のお名前は、ご存知でしょうか。スタジオジブリ「耳をすませば」の監督ということで認知されている方もいるかもしれませんが、この方は元々アニメーター出身。しかも、展示会のタイトル通り「ジブリを支えた」と言えるほどの名アニメーターです。
よく知られているエピソードでこんなものがあります。当時「となりのトトロ」と「火垂るの墓」が同時進行で制作されようとしていた時、宮崎駿・高畑勲の両監督が近藤喜文さんをどちらの作品に参加させるかで取り合いになったそうです。それくらい、彼の描く絵の上手さは高い評価を受けていました。90年代スタジオジブリの名作の中にはいつも、アニメーター・近藤喜文氏の作画がありました。
■主な関連作品
なお、近藤喜文さんの参加作品は主に以下の通りになります。
「未来少年コナン」1978年/「赤毛のアン」1979年/「名探偵ホームズ」1982年/「リトル・ニモ」(パイロットフィルム)1984年/「火垂るの墓」1988年/「魔女の宅急便」1989年/「おもひでぽろぽろ」1991年/「紅の豚」1992年/「耳をすませば」1995年/「もののけ姫」1997年
※福島ガイナックスホームページより抜粋
■ボツ企画のイメージボード
続いて、展示会の内容になります。筆者が最も感動を受けたのは、ボツになった企画のイメージボード集。日の目を浴びることのなかった作品の企画段階で「作品イメージを固めるため」に描かれた一枚絵。タイトルも決まっていないような状況で、「探偵の兄妹」というなんとなくなコンセプトのみでした。が、そこに描かれていたのは、ハンサムで澄ました顔をした兄と、決して綺麗ではないけれどお茶目な感じが伝わってくる元気そうな妹が部屋にいる風景。これを目にした時は鳥肌が立ちました。
「絶対面白いでしょ、このアニメ」と思わせるくらい、そのたった一枚のイメージボードからキャラの性格や作品の雰囲気が伝わってくるのです。少し大げさと思われるかもしれませんが、これが本当にそう思わせるくらいの温かみや熱量が伝わってくるのです。絵に説得力と期待感が含まれているイメージボード。これがプロの中のプロの仕事なんだと、非常に感銘を受けた絵でした。
■思い出深い「耳をすませば」と「赤毛のアン」
筆者が近藤喜文さんの存在を知ったのは「耳をすませば」と「赤毛のアン」。この2作品、元々キャラクターの魅力が素晴らしく大好きだったのですが、2作品共に、近藤喜文さんの作画によるものだと知ったのはだいぶ後からでした。大好きなキャラクターが一人のアニメーターによる作画であることを知った時の喜びは、いまも良き想い出として心に刻まれています。
そんな2作品ですが、本展示会でもふんだんに飾られております。キャラクターデザインをはじめ、セル画や水彩画の版権イラストもあり、久々に童心に帰った思いになりました。
■最後に
近藤喜文展は、福島さくら遊学舎での開催が2017年8月31日を持って終了となっており、たまたま地元である福島県に帰省していた時にその存在を知って観に行きました。改めて展示会の開催に感謝です。
久しぶりに近藤喜文さんの温かみある作画をその目にしっかりと焼き付けられたと思っています。また、筆者の故郷・福島県にあのガイナックスが設立されているというのも、感慨深いものがあります。福島ガイナックス様には、今後も末長く会社が繁栄してもらえるよう願っております。