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【新文芸坐×アニメスタイル】今敏監督3作品を堪能してきたよ

   

2016年11月19日。池袋にある新文芸坐。映画の名作品をオールナイトで楽しめるイベントをやっている素晴らしい劇場です。

 

今回参加してきたのは、「新文芸坐×アニメスタイルセレクションVol.88 アニメファンなら観ておきたい200本 今 敏のアニメーション」です。

 

上映作品は「千年女優」「東京ゴッドファーザーズ」「パプリカ」の3つ。今敏監督の作品はどれも大好きで、中でも代表的な3つを堪能することができました。

 

■トークショーも一緒に行われるのが魅力

新文芸坐×アニメスタイルの上映イベントの最大の魅力はトークショーだと思っています。その作品にゆかりのある人物数人が観客席の前で、作品にまつわるエピソードを聞かせてくれます。

 

監督ご本人にもう会えないのが本当に残念ではありましたが、今敏監督の7回忌に伴い、3人の豪華なゲストが登壇。アニメスタイル編集長・小黒雄一郎氏。アニメ評論家の氷川竜介氏。そしてアニメーター・本田雄氏の3人です。

 

御三方と会場全体お一人お一人が今敏監督との思い出に浸ることことができたのではないでしょうか。

 

でも意外だったのは、今回のイベントで初めて今監督作品を観るという人が結構いたこと。トークショー冒頭で小黒さんが会場にアンケートを取ったのですが、3作品とも観るのが初めてだという質問に対して全体の1割くらいはいたでしょうか。手が挙がっていました。

 

「ある意味羨ましい限りです。これから今さんの作品と出会えるチャンスを持ったということは」と思わずこぼしていた氷川さんの言葉が耳に残りました。たしかにそうだなと・・・。

 

そのほかにも、本田雄さんと今監督との初めて出会った時のエピソードも聞かせてくれました。なんでも、劇場作品(たしか『memories』だったかな?)の作画として参加していた両人が、後ろの席になったそう。

 

はじめは両人ともに全く口を聞かなかったそうなのですが、実は、今さんが描いた漫画の大ファンだった本田さんは自席の本棚に今さんの漫画を置いていたんだとか。それを観た今さんが(おそらく口を聞いてくれないから嫌いなのかと勘違いして)「何の嫌がらせだよ」と言ってきたのが、今監督と本田さんの出会いだそうです。

 

このようなエピソードを聞けるのが、新文芸坐×アニメスタイルイベントの魅力です。

 

■映画館の大スクリーンで楽しめる喜び

映画館で観るのは最新のものだけではありません。新文芸坐では、昔の名作を大スクリーンで楽しめるのが最高の喜びです。

 

今敏監督の素晴らしい映画を自宅の小さな画面でなく、映画館で堪能できるのです。それだけでも、このイベントに参加する価値があります。

 

以前も『GAINAX〜アオイホノオの時代〜』ガイナックス祭りということで、トップをねらえ!や王立宇宙軍を観る機会がありました。いずれにしても、映画館でリアルタイムで観ることができなかった時代の作品を映画館で再び拝見する機会を与えてくれる新文芸坐さんに感謝です。

 

続いて各作品の感想を少しばかり・・・。

 

 

■千年女優の「騙し絵」で千代子の人生を追体験

本田雄さんがキャラクターデザインを担当した『千年女優』は、一人の大女優が話す半生の物語が、いつのまにか千年を駆ける映画のストーリーと混合していく様を、最高の作画スタッフと最高の美術スタッフ、そして最高の音楽で映像化しています。

 

個人的にも、本田雄さんのファンということもあって、今敏監督作品では1、2を争う好きな作品です。それを映画館で観られる機会を得られたことは、本当に嬉しい出来事でした。

 

そして、何度観ても面白みを見出せるこの作品に、改めて感動を覚えました。

 

■東京ゴッドファーザーズはアニメーターの遊び心満載

トークショーでも話題になりましたが、東京ゴッドファーザーズはアニメーターの作画力が存分に発揮された、数あるアニメーションの中でも特に作画に見応えがある作品です。

 

アニメーターの大塚伸二さんのハナが見せる表情や歩き方などの変化模様は、それだけでもずっと笑っていられるほどの面白さがあります。

 

個人的には、今作品で唯一DVDをまだ持っていない作品でしたので、視聴するのは何年か振りでした。改めて観ると、その作画のクオリティと遊び心にやられてしまいました。

 

うまくて、しかも面白い。誰がどのカットを担当したのか追求してみたいと思わせるほどにどのシーンでもアニメーターの勢い・情熱が伝わってくる作品ですね。

 

ストーリーとしても、小さな奇跡の連続が物語をハラハラ・ドキドキさせる構造がとても面白いです。コミカルな雰囲気が全体を覆うこの映画は今監督のイメージが少し変わってさらに好きになるきっかけをくれる作品でもあると、個人的に思っています。

 

■パプリカは完成された今敏監督の集大成

「今監督は絵がとてつもなく上手くて速い」と本田雄さんはトークショーで仰っていました。パプリカは今敏監督の集大成とも言える作品だとも言われていて、事実、今敏監督が尊敬する小説家・筒井康隆氏の原作小説に、監督が大ファンである平沢進氏を音楽に招き入れていることからも明らかです。

 

映像としても、今監督の映画制作の技術をフルに使った、妥協をしない作品作りに徹しています。絵コンテを監督自身が全て手がけているのです。

 

しかも、絵コンテの絵をできる限り精密に描き出し、拡大コピーしてそのままレイアウトとして原画マン以降の工程に回していくという、今監督のスキルがなければ絶対にできない独特な制作方法を取り入れています。

 

オープンングから今敏ワールド前回の現実と夢が交錯するシーンの連続。本編でも夢と現実をテーマに美女と野獣的な男女の思いが交錯するシナリオも見応えがあります。

 

■上映を終えての感想まとめ

トークショーに、名作の大スクリーンでの視聴。そして、夜10時からスタートするというちょっと非常識な時間帯。これらのイベント感こそが『新文芸坐×アニメスタイルセレクション』の醍醐味です。

 

トークショーを合わせ6時間にも及び、深夜〜朝にかけてのイベントなので、寝る確率が極めて高いのが難点です(笑)。ですが、それも含めてお祭りといった感じがあっていい。あくまで個人の見解ですが、僕はそんなふうに思っています。

 

新文芸坐×アニメスタイルのイベントは年間に数回開催されています。もしあなたもこんなアニメのお祭りに興味があるのなら一度参加してみることをおススメします!

 

それではまた!

 

2016年も当サイトをご覧いただきありがとうございました。2017年もたくさん記事を更新し、あなたのお役にたてるコンテンツの提供を目指して頑張ってまいります。

 

これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

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