雑誌「アニメスタイル012」レビュー
2018/03/22
【参照】https://www.amazon.co.jp/アニメスタイル012-メディアパルムック/dp/4802152035
雑誌「アニメスタイル」をご存知でしょうか?アニメ作品の脚本なども手がけている雑誌編集者の小黒祐一郎さんが編集長で制作されているアニメ専門雑誌。今回の最新刊アニメスタイル012が合計20号目の節目となっています。
他のアニメ専門誌ではなかなか取り上げられない濃密な内容が魅力のアニメスタイルでは、アニメーター・監督・演出などのクリエイターへのインタビュー記事を中心に、各作品の原画やレイアウトなどが満載で、アニメファンを毎号楽しませてくれます。今回は、最新号「アニメスタイル012」の目次とその内容のレビューをしていきます。
■目次
アニメスタイル012の目次は以下の通り。160ページ以上にわたり、様々な作品に関する濃密なインタビュー記事と原画・イラストが数多く掲載されていますので、気になるところがあるか探してみてください。
- [特集]『エロマンガ先生』
- 竹下良平監督インタビュー~「エロマンガ先生」魅力とクオリティの秘密
- 岡勇一(総作画監督)×小林恵佑(沙霧アニメーター)
- [特集]「湯浅政明のアニメスタイル」
- 湯浅政明ロングインタビュー
- サイエンスSARUのFlashアニメーション
- 「有頂天家族2」の画作り
- 吉原正行監督インタビュー~有頂天家族2の制作システムと3Dレイアウト~
- [特集]『舟を編む』
- 黒柳トシマサ監督インタビュー~船を編むが挑んだこと~
- [マンガ]「西尾鉄也の明日には群の中に紛れるように あがります」
- [マンガ]「いちびりの園2017 冬来たる!」サムシング吉松
- 『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険のイメージボード』
- 森山洋の仕事 第二回『ギルティクラウン』
- 奥付 次号予告
■表紙は「エロマンガ先生」総作画監督・岡勇一さんによる沙霧イラスト
「エロマンガ先生」総作画監督・岡勇一さんによる主人公の妹・沙霧のイラストが本号の表紙。Tシャツのシワに落ちる影の付け方に、繊細な手の描き方、おでこを出した顔や髪の毛の乱れ方といったところは、本編ではあまり見られないイラストになっています。淡い色彩のも素晴らしく、イラストの魅力が何倍にも上がるように感じられます。
目次と次号紹介ページには、アニメスタイルでおなじみのアニメーター・石浜真史さんのイラストも2点掲載されています。石浜さん得意の美少女と、ビビットで独特な色遣いが魅力のイラストはいつ見ても圧倒されます。
また、メイン記事を中心に数多くの原画・レイアウトが掲載されていて、アニメーション作品の骨格ともなるアニメーターの作画技術が堪能できる内容となっています。
■本号のメイン記事は「エロマンガ先生」
巻頭からいきなり50ページ近くに及ぶロング記事となっている本号のメイン記事は「エロマンガ先生」。監督の竹下良平さんをはじめ、本作のキーとなったアニメーター・岡勇一さん(総作画監督)と沙霧キャラの作画を中心に存在感を放ったアニメーター・小林恵佑さんのロングインタビューが掲載されています。
インタビュアーの石黒祐一郎さんがいろんな意味で「観やすい」と表現した本作について、その観やすさの秘密をインタビューを通して知ることができる内容となっています。この記事を読んだ後に改めて本作を視聴し直すと、作品の魅力がさらに深まっていくのではないでしょうか。
■有頂天家族2の制作の裏側がよく分かる!
勉強になったという意味では、個人的に一番のオススメしたいのが「有頂天家族2」監督・吉原正行さんのインタビュー記事。奥行きのある画面構成が特徴的だった本作の画作りで活躍した「3Dレイアウト」について、詳しく紹介されています。
3Dレイアウトのメリット・デメリットをインタビュー記事内で監督は赤裸々に語られているところを見ると、今後のアニメーション制作を左右する次世代の制作方法としてその注目度が伺えます。個人的にも前作「有頂天家族」が大好きで、本作も非常に楽しむことができた作品でした。その作品の制作現場のことについて詳しく知ることができ、作品への情熱・クリエイターのみなさんへのリスペクトがさらに深まった想いです。
もしあなたがまだ、雑誌「アニメスタイル」を読んだことがないのであれば、ぜひ手にとってみてください。アニメーションへの愛情がさらに強化され、もっと好きになることは間違いありません。