製作委員会方式依存からの脱却とアニメーションビジネスの新たな可能性
2019/02/08
クリエイターの待遇改善を課題にしているアニメーション産業アニメの源泉であるアニメーション制作会社の経営を改善し、持続させていくために何ができるでしょうか?
製作委員会方式にて得られた資金からの制作会社への制作費用の支払いが大きな売り上げの内訳で間違いないはず。アニメーション制作会社自体が顧客を獲得し、利益を上げるための施策を行っていく必要性があると筆者は感じているのですが、それではどんなビジネスが可能かを検討してきたいと思います。
円盤の売り上げ以外にどんなビジネスで売り上げを上げられるか?下記の内容は、製作委員会の収入源としての候補ですが、ここではアニメ制作会社自体が、どんなビジネスを展開できるかを考えていきます。
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アニメーション制作事業をBtoBに活かす
制作したアニメ作品の販売先はBtoCの流れが多い業界。個人相手では販売できるビデオグラムひとつとってもその額は限られてきます。作品を納品する相手を企業にしてみるのはどうでしょうか。
すでにいくつかの企業は取り組んでいるところもあるでしょうが、例えば企業の紹介CMにアニメーションを取り入れたり、企業が抱えるビジネスのマーケティングにアニメーションを取り入れたり。YouTubeなどの動画を使ったマーケティングなどにアニメーションを取り入れてもいいかもしれません。
クリエイター育成事業
アニメーションのクリエイターは毎年一定数いて、クリエイター志望者たちの多くは専門学校などに通う人たちの割合が非常に多いです。現場の第一線で活躍する現役のアニメーターなどが、後進の育成に積極的に関わってもいいかもしれません。
個人レベルでは、アニメーターの室井康雄さんが行っている「アニメ私塾」。毎年受講生を何名か招いてアニメーターの後進育成に携わっています。実際、現場で働くアニメーターさんの技術こそ、「知りたい!」と願う志望者さんも多いはずです。CtoCの動きとなるシーンになりそうですが、現場を生き抜くアニメーターさんが、作画の仕事と後進育成の仕事とを両立させるといったワークバランスを作ってみても面白いのではないかと考えます。
英語圏への進出
海外進出を目標に動こうとしている業界の動向に乗っかって、日本での放映ではなく、最初から海外での展開を目的に制作するアニメーション作品があってもよいのではないかと考えます。大きなパイを狙っていくのであれば、やはり英語圏の国でのアニメ作品制作は外せません。アメリカやヨーロッパでは、アニメーションは子供が観るのが主流という流れがあるため、自然と許される作品カテゴリーは限られてくるかもしれません。
ですが過去の例で言えば、日本アニメーションで制作されていた「世界名作劇場シリーズ」など海外の有名小説原作のアニメ作品など、現在も語り継がれる名作アニメーション作品はたくさんあります。そういった英語圏で広く浸透しているような童話・小説・伝記などをアニメ作品として制作していってもいいのではないか、、、、。
監督・脚本から海外のクリエイターを招き、制作・著作は日本の企業が持つ。そうしたコラボレーションでの作品でメジャーデビューを画策することも、日本のアニメーションを海外で評価させ、作品の価値を高めていく。価値が高まればより多くの値段で作品を制作することもできるようになり、日本のアニメクリエイターに広く深くお金が落とされていけば、、、と考えます。
クロージング
「さまざまな可能性を考えていきたい。」
Production I.G代表の石川光久さんがとあるアニメ情報誌で言った言葉です。ここに挙げた例にあまり現実味を感じられない方もいらっしゃるかもしれませんが、ひとまず理想を考えながら、模索し、実践していくなかで見えてくる創造的なアイディアがふと浮かぶものです。筆者も、こんな自分でも何かしら使命ある仕事をアニメ業界でできないかと思いながら、可能性・チャンスを作り出していければと思っています。