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アニメビジエンスvol.10の概要とレビュー

      2019/02/06

※画像参照:http://anime-busience.jp/backnumber/010

アニメビジエンスという雑誌はご存知でしょうか。筆者もここ最近知った雑誌なのですが、アニメーション産業をビジネスの目線で捉え、今後の産業発展のために何が必要なのかといった内容を伝える数少ない雑誌です。

今回は雑誌「アニメビジエンス」についてその概要を押さえながら、雑誌発刊第10号目となる「アニメビジエンスvol.10」の内容についてご紹介していきます。

 

■アニメビジエンス概要

「クールジャパン」の代名詞として語られるアニメビジネスは、経済産業省や文化庁からの注目度は高いのですが、産業としての規模・将来性が語られることはあまりありません。(中略)アニメの「利用価値」を俯瞰で捉え、アニメ産業の可能性を探りたいというニーズがあるのであはないかと考え、アニメビジネスを科学する(ビジネス+サイエンス)という意味で「アニメ ビジエンス」と名付けました。本誌によって読者がアニメの新しい可能性に気づき、それによってアニメ産業が少しでも発展できるなら、発刊者にとってこんなに幸せなことはありません。 アニメ ビジエンス発行人 真木太郎(株式会社ジェンコ代表取締役)

※アニメ ビジエンスvol.10目次より抜粋

 

■アニメ ビジエンスvol.10 目次

●巻頭大特集「これからのアニメ業界に必要な人材とは?ビジネス視点で見るアニメ業界の人材確保の未来」

~次代を担うアニメ業界の人材とは?現場が求める資質と育成の方法論を考える~

●デジタル化によって変わる「人材」と「経営」

~サンジゲン松浦裕暁社長に訊く~

●デジタルアニメ時代のプロデューサーに求められる資質とは

●次世代人材を育成せよ

~産業化したアニメ業界で必要なのは「コミュニケーション力」と「汎用性」~

●アニメ×人材大特集 総括

~避けられない変化への適応を巡って~

●インタビュー特集:石川光久

アニメビジネスの革新者が複眼思考で見つめる海外と国内

~プロダクションI.Gのバランス感覚~

●データ特集 アニメ産業希望者数と就業者の意識

●アニメビズデータバンク:2015年10月~12月期

●クリエイターズVOICE:山﨑みつえ

●Check It Out!クリエイティブ・スタジオ:株式会社81プロデュース

●アニメソムリエスワッチの業界見聞録:カンロ株式会社

●福井健策の著作権と法務とアニメ

●丸山正雄のアニメバカ一代記

●武者慶佑の僕がイタイ

●アニビズクロスオーバー:AnimeJapan

●【新連載】Japanese Anime 定点観測

 

■気になった記事

特に気になった記事は、巻頭大特集からのインタビュー「デジタル化によって変わる「人材」と「経営」~サンジゲン松浦裕暁社長に訊く~」です。3DCG制作会社サンジゲンが行なっているフリーランスを雇わないチーム単位でのアニメーション制作のところ。

アニメーション制作での大半がフリーランス雇用で進められるなか、制作会社サンジゲンではフリーランスを雇わずに正規雇用のスタッフによるチームを編成し作品を作り上げていく現場体制を敷いていることに驚きました。スタジオジブリがアニメーターを正規雇用した制作部を解体した事実からみても、アニメーション制作会社での正規雇用による経営がいかに難しいかを実感するなか、3DCGの現場にこうした一歩先を行く企業があることが凄いです。

それだけ3DCGをアニメーションに取り入れる機会が増えていることの証明にもなりますが、アニメーションの花形とも言える動く絵を描くアニメーターにも、正規雇用により育成していこうという企業がもっと出てくれば、低賃金やアニメーター職の空洞化といった問題が解決に向かう可能性が高くなるのではないかと感じます。

人材の育成と経営に目を向けた長期的な視点と、利益をしっかりとクリエイターに還元する流れをつくるためにも、サンジゲンさんのような、雇用に目を向けて行く必要性があるのではないでしょうか。

 

■まとめ

雑誌「アニメ ビジエンス」では、アニメ映像制作クリエイターのインタビュー記事はもちろんのこと、アニメ専門学校関連の記事や、グッズ販売に関わる企業の第一人者へのインタビュー記事などもたくさん掲載されています。アニメーションがただのコンテンツとしての役割を果たすだけでなく、そこから派生するあらゆるビジネスを通して、産業の発展につながる貴重な記事が面白みを与えてくれる情報誌です。

アニメファンとしては、これからもたくさんの良い作品を観たいという思いに疑いはありません。良い作品を生み出す環境や人材を作るためにもビジネスとして産業を拡大し、利益を増やすことがこれからのアニメ産業の明るい未来を作る要因だと、この雑誌を通して改めて実感します。

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